災害時などの非常事態に、賞味期限が長い食べ物は役立ちます。長期化した避難生活などでは、期限をあまり気にせず安心して食べられるためです。また、ストックしておけば、災害時に食べ物が入手しづらくなっても慌てなくなります。食糧不足で食べ物がなくなってしまうかもしれないという不安をあまり感じづらくなるためです。
そんな賞味期限が長い食べ物にはどのようなものがあるでしょうか。具体的な特徴を知っておくことで、選ぶ際に見つけやすくなります。この記事では、賞味期限が長い食べ物の特徴や、食品・保存期間などについてご紹介します。賞味期限が長い食べ物を購入したい人や、何があるか知りたい人はぜひ参考にしてみてください。
賞味期限が長い食べ物は?
特徴を知っておけば、バランスよく食べ物をストックできます。賞味期限が長いものにしておけば、災害など非常事態の際、栄養バランスも考えて食事をとれることが大きなメリットのひとつです。避難中に栄養の偏りのせいで体調を崩してしまえば、対応も大変なので、賞味期限が長い食べ物の特徴を知ってストックしておきましょう。
水分を抜いて乾燥しているもの
ドライフルーツやフリーズドライ・干物など、水分がほとんどないものは賞味期限が長いものも多いです。
水分の含まれている量が少ないほど、微生物が繁殖しづらく、また成分の変化も起こりづらくなります。干し柿などのように、昔から知られている保存方法のひとつです。果物を多くもらいすぎたとき・余ってしまいそうなときにも活用できます。
塩漬け、酢漬けしたもの
塩漬けは梅干し・魚の塩漬けなど野菜や魚の漬物・酢漬けはピクルスが有名です。塩漬けは浸透圧の効果でつけている野菜などの食べ物から水分が出ていくため、長期保存ができます。理由は先にあるように、水分が少ないと微生物が繁殖しづらいためです。
酢漬けの場合、酢そのものに防腐効果があります。食べ物を腐敗させる微生物は一定のphがないと生きていけず、酢はphが3と非常に低いためです。ただし、手作りの場合は製造過程・保存方法によって長持ちしづらい場合もあるので、なるべく早く消費することをおすすめします。
製造過程で密封されている加工食品
缶詰やレトルト食品・瓶詰のことです。これらは製造過程で密封されたうえ、加熱処理などで食べ物に存在する微生物を殺菌処理することが定義で決められています。そのため、市場で販売されている缶詰・レトルト食品・瓶詰は全て殺菌処理されているため長持ちするのです。
さらに、密封状態で殺菌するため、中は無菌状態となることも理由のひとつです。防腐剤などを用いなくとも、長持ちできるようになっています。
常温で賞味期限が長い食品5選
常温で賞味期限が長い食べ物の中でも、コンビニやスーパーなどで手軽に購入できストックしやすいものを紹介します。何をストックしようか悩んでいる人は、まずはここから選んでみてください。スーパーで揃えられる非常食については別記事でも紹介しています。
米
日本人なら誰もが慣れ親しんだ食べ物の米も、賞味期限が長い食べ物として有名です。水分がなく乾燥している米は、常温保存で1ヶ月から2ヵ月もつといわれています。普通のコメ袋ではなく真空パックの米も売られており、真空パックに入った米は酸化が防げるため、さらに賞味期限が長いです。
真空パックのコメは常温保存で1年、冷蔵保存で2年もちます。なお、自宅で米を長期間保存する場合、高温になるところや湿気の多いところではカビが生えてしまったり、真空パックでなければ酸化しやすくなったりするので保管場所には気をつけましょう。風通しがよく、あまり気温も上がらない場所がおすすめです。
根菜類
根菜類は、夏場以外は冷蔵保存よりも常温保存のほうが向いている野菜です。じゃがいもは根菜類の中でも特に長持ちするといわれており、常温でも3ヵ月、野菜室なら半年ほどもちます。里芋などほかの根菜の多くも1ヶ月から3ヵ月ほど保存できるので、ストックする野菜として有能です。
ただし、根菜類は根菜類に合った保存方法をしていないと上記ほど長持ちしづらくなります。土の付いたまま新聞紙などに包んで、湿度が高くなく日の当たらない涼しい場所に置きましょう。
缶詰
缶詰は真空状態にしてあり、かつ殺菌処理が施されるため賞味期限が長くなります。腐敗を進める菌が繁殖しづらいためです。ほかの食品と同じく高温多湿の場所に保存はしないほうがいいですが、それを守っていれば年単位で保存できるものも多く、自分が食べやすいものをストックできます。
サバイバルフーズの缶詰は保存期間が最長といわれており、25年もあります。また、ほかのスーパーなどで見かける缶詰も3年以上保存できるものも多く、日ごろからストックしやすい非常食のひとつです。
クッキーやチョコレート
手軽に糖分が摂取できる市販の菓子類も賞味期限が長いものが多いです。食べ物の酸化を防ぐ脱酸素剤や、保存料が含まれており、カビが増えたり腐敗したりするのを防いでくれます。半年から1年ほど保存可能です。非常食用として売られているものなら5年もつクッキーもあります。
ただし、生クリームやバター・生の果物が多く使われているクッキーやチョコレートはあまり長持ちしない場合もあるので、非常食としてストックしたい場合は賞味期限を確認して購入するのがおすすめです。また、チョコレートはたとえ賞味期限が長くても、暑い場所では溶けてしまうので保管場所には注意しましょう。
非常食になるお菓子については下記記事もご覧ください。
乾麺
水分をできるだけ抜き乾燥させている乾麺は、微生物が繁殖しづらくカビが生えづらいため賞味期限が長いものが多いです。乾燥パスタなら賞味期限が3年と長くもちます。
乾麺は湿気に弱いので、湿度の高い場所は避けて保存するようにしましょう。
賞味期限がない食材はある?
短い・長い問わず賞味期限がある食べ物がほとんどですが、なかには賞味期限が実質的に存在しないといわれる食べ物もあります。賞味期限がない食材の主な特徴は以下の2点です。
長期保存しても変質することのない食品
品質の変化がほとんど起こらない砂糖や塩は、賞味期限が実質ありません。法律により長期間経ってもほとんど変質しないものは、賞味期限の提示義務がないためです。保存状態が悪くない限りはほぼ無期限で使用できます。
保存方法を守れば長期保存が可能な食品
アイスクリーム・氷・ガム・飲料水なども賞味期限がない食材です。アイスクリーム・氷は冷凍保存で菌が繁殖できない環境下で保管するので、賞味期限がありません。ガムは水分がほとんどなく、特定保健用食品でない限りは賞味期限を提示せずとも問題なく食べられます。
飲料水は賞味期限が提示されているものもありますが、殺菌した状態でボトルに詰められているため提示された期限を超えても問題ありません。ボトルの近くにあるものからにおいが移る場合があったり、未開封でも長期間置いておくと内容量が減ってしまったりする場合があるため、賞味期限を提示する企業が多いです。
ただし、どれも冷凍庫や直射日光の当たらない場所など適切な管理方法を守ったうえでのことなので、保存方法はしっかり守りましょう。
日持ちする食材についてはこちらの記事でも紹介しています。
非常食の保存期間は?
非常食の多くは保存期間が年単位ですが、ものによって差があります。どの非常食がどれくらい持つかあらかじめ知っておかないと、必要になったときに期限が切れていたという事態にも陥りかねません。家にストックしてある非常食は、定期的に保存期間をチェックしておきましょう。
アルファ化米(3~7年)
アルファ化米とは、炊いて食べられる状態の米を急速に乾燥させたもののことです。非常時にはフリーズドライのように水やお湯を注ぐだけでさっと美味しいご飯が食べられます。乾燥させているため、菌が繁殖しづらく米の長期保存を可能にしています。平均3年から7年の保存が可能です。
長期保存パン(1~5年)
非常食向けの長期保存パンは、密封された状態で殺菌処理するため賞味期限が1年から5年と長いです。また、日持ちしないパンと比べると含まれている水分量が少ないため菌が繁殖しづらく、脱酸素剤などを用いて酸化を防いでいます。
缶詰(2~3年)
缶詰は平均して2年から3年の賞味期限があります。製造過程で密封・殺菌処理をしているためです。先に述べたように最長では25年もつものもあります。
レトルト食品(2~7年)
カレーなどに代表されるレトルト食品は、遮光性の高い容器に食材を密封し、缶詰と同じように殺菌処理をするため賞味期限が長いです。中に菌がいない状態になるので、腐敗が進みづらくなります。賞味期限は平均2年から7年です。
ビスケット(5年)
保存用のビスケットは5年ほど持つものが多いです。ビスケットは水分をあまり含んでいません。そのため、菌が繁殖しづらく長持ちします。
羊かん(3~5年)
何も入っておらず、砂糖が多く使われている羊かんは賞味期限が長いです。製造過程でしっかりと加熱され、砂糖が多いことで菌の繁殖を抑えてくれます。非常用の羊かんなら3年から5年ほどもつものもあります。
まとめ
賞味期限が長い食べ物について紹介してきました。水分が少なかったり、砂糖や塩など簡単に変質したりしないものなどは菌が繁殖しづらいため賞味期限が長いです。非常時用のものは年単位のものも多く、ストックしておけばいざというときに慌てずに済みます。
ただし、一度買ったからと放置しておけば、知らぬ間に賞味期限が過ぎてしまっていたという場合もあるので、適度に賞味期限は確認しておきましょう。